本文へスキップ


静岡茶 生産・製造直売

 

茶畑の一年

 
  

年明け



茶園は、ぐっすり眠ったまま新年を迎えます。

親葉は やや赤みがかっていますが、ツヤツヤ肉厚で、これは、充分栄養を蓄えて休眠しているしるし。



新芽は硬くぎゅっと締まっています。

早春





私どもの畑は海抜約200メートルの台地にあり、平地より気温が2〜3度低いようです。

朝晩はかなり寒く、晴れた朝はよく霜が降りますが、休眠している状態なので心配ありません。

刈り揃えた株面に浮かび上がる霜の模様はとてもきれいです。



たまに雪が降る年もありますが、まったく問題ありません。

 3月





ヒサカキが花をつけるころ、芽の色が明るくなります



3月も半ばになると、新芽に「毛じ」が確認できるようになり、春が来たことを実感させてくれます。
そろそろ防霜ファンのスイッチON。

管理のために茶畑の中を歩き回ると、ズボンと茶葉がすれて、水(養分)を上げ始めた独特な匂いがします。



ほんの少しですが、株面から新芽がツクツクと。

春といっても朝晩はまだまだ寒く、このあたりの1〜2週間は、なかなか目に見えて伸びてこないので気がもめるところです。



下旬、その年の収量と各地区の収穫日を予想するためのJAの生育調査が始まります。


春 4月



成長が早まり、新芽が開きだして株面より上に出てくるので、茶畑全体が急に明るくなった感じを受けます。

この時期の新芽は、その年毎で成長具合が異なりますが、10日程度の成長差は自然に修正されてしまいます。



朝日に透かされる新芽はとてもきれいで、鼻を近づけるといい香りが・・・



4月中旬、風の静かな日には、茶園に立つとアミノ酸のあまい匂いにつつまれます。

この時期でなければ味わえない香りです。



このころキジのつがいをよく見かけます。
オスは見張り役。



天気の良い暖かな日には、新芽がクネクネと曲がります。

とてもよい状態の現れで、この現象がおきるとあと少し・・・。
はやる気持ちをおさえながら茶園管理に努めます

一番茶



4月下旬、いよいよ一番茶スタート!

じっくり適期を見定めていっきに収穫します。

収穫は、タイミングとスピードが命
新芽をいためないように、いそいで製茶工場に運び込みます。



八十八夜前後、一番茶の最盛期を迎えます。
この頃は、昼の気温のわりに夜の気温が低く、毎朝のように靄がかかり露が降ります。

植物にとって、朝の葉水はとても重要で、順調な生育につながります。
また、夜の気温が低いと 養分の消費が抑えられ、高品質な製品が期待できます。



茶期中に富士山が見えたらラッキー!
新芽と富士山は絵になりますが、残念なことに この時期はなかなか見ることができません。



一番茶も終盤に近づくと、ひざしの強い日が時々おとずれ、新芽は、まさに金緑に輝きます。

茶の樹に力をつけてあるので、すこしばかりの暑さでは品質に影響することはなく、むしろ、太陽の恵みで美味さアップ!

一番茶終了



収穫したあとの茶園です。
黄緑色に見えますが、これは、品質のことを考えて 少し残して収穫したためです。



5月中下旬、一番茶が終わる頃、茶畑の脇ではみかんの花が満開を向かえ、一番茶の疲れを癒してくれるかのように甘い匂いを漂わせます。


深刈り更新

3〜4年に一度、一番茶後に切り戻しをして、茶園の若返りをはかります。
地面から40〜50センチの高さで、思いきり良く切り込みます。

     

6月




二番茶前の親葉の様子。



深い落ち着いた緑でツヤツヤ、新芽も一番茶に負けないくらいフレッシュな雰囲気です。

二番茶は6月10日くらいからスタート。
マルユウ鈴木園では、来年の一番茶のことを考えて 摘採は半分位の面積にとどめます。

残したものは、秋までそのまま置いて樹勢をつけるか、次の芽のために良い状態になるまでじっくり待って刈り捨てます。



この時期はよく霧が発生。
この霧は茶の生育には強い味方です。



2番茶の収穫が終わるころ、深刈りをした枝に新芽が吹き始めます。

7月



梅雨明けの頃、来年の一番茶の母枝になる芽が2〜3葉開葉期に入ります。

この芽をどう育てるかが腕の見せ所で、健全に育つよう細心の注意を払って大切に育てます。



深夜〜早朝、定期的にスプリンクラーでのかん水。



7月中旬になると、枝が丸見えだった深刈り園が、葉っぱで覆われてきます。

基本的には秋までそのまま置くのですが、生長具合いで、一度切り戻すか、先を少し止めます。



下旬になると、三番茶芽が伸びきり、葉が大きくなって株面全体を覆ってきます。



この頃の茶の実は、まだ雌しべの枯れたものが残っていて表面はツルツルです。


8月



キジの親子です。
親と一緒のリズムでエサを啄ばむくらいに成長したヒナが見られます。


春の時と同じで、やはりオスが見張り役のようです。



基本的に8月いっぱいは定期的なかん水を続けます。
冬を越すための葉が硬化するまでは気が抜けません。

9月





涼風が吹きだすと、 親葉が盛り上がるように勢いを増し、秋芽が立ち始めます。

このころから茶畑が秋の匂いに変わります。

秋整枝



9月末になると、早い園は秋芽がざわざわに伸びた状態になります。

気温が下がるのを待って秋剪枝スタート!



刈り捨てるのがもったいないような秋芽ですが、製茶しても内容は期待できません。

一番良い状態までじっくり充実させて刈り捨てます。

頭の中は、すでに来年の一番茶のイメージでいっぱいです。






整枝前と後。

秋芽が長く伸びているので、作業後は まわりが明るくなったような感じを受けます。

6月に二番茶を刈り終えた時から 次の1番茶へ向けての管理が始まるわけですが、実際の一番茶の芽はここでスイッチが入ります。

整枝のタイミングをはかるには かなり神経を使いますが、充実した母枝を目の当たりにすると、今年も無事にここまで来たか・・・と、満ち足りた気持ちになります。



この園は深刈り更新をしてそのまま置いた園で、特別長く伸びています。
どのくらい伸びているかわかるように一通りだけ刈り取ってみました。
これで3回刈り。あと10pくらい下げたいところですが、葉やけをおこすので、しばらくこの高さのままで置きます。




その年の状況にもよりますが、秋整枝が半分程度進んだところで 並行して仕上げの均し作業にはいります。

秋整枝後から年越し



お茶の花は10月中旬位から咲き始め、次から次へと咲き続けますが、きれいなのは咲いた当日のみで、3日ほどでしおれます。



これは去年咲いた花が実を結んだ茶の実。
早いものから殻が割れて落ちはじめます。



休眠に入る準備中。
親葉は充実し、来年のために 栄養をしっかり蓄積しています。



12月に入る頃の茶の実。
茶の実は5ミリ前後の大きさで冬を越し、4月に入るころから肥大し始めます。






気温が下がってくると休眠に入ります。
少し赤茶けた深い緑色は栄養を充分にたくわえているしるし。



こちらは冬越しの支度が済んだ茶の実。
この写真はだいたい実物大ですが、この大きさのまま冬を越します。

茶の実について